バレンシアで乗った
アウディQ5
アウディQ5はミッドサイズのSUV。
BMW・X3やメルセデス・GLKが直接的なライバル、
つまり、日本にも馴染むサイズのSUVということです。
バレンシアでの初対面の印象は、
「穏やかで控えめでエレガント」といったものでした。

アウディのデザインクォリティの高さがよくわかるスナップ。
SUVというと、
なんとなく威圧的なイメージを抱く人は少なくないでしょう。
でも、アウディQ5にそうしたイメージはないですし、
あのシングルフレームグリルにしても、
例えば、兄貴分に当たるQ7のような強烈さはありません。

バレンシア空港一角に設けられたスタートポイント。
アウディのプレススタッフがミーティング中。

Q5のコクピット。マテリアルも含めて仕上げの質感は非常に高いですね。

日本の試乗会は「テントと黒板」スタイルが多いが、アウディの試乗会はいつも心に残る。
プレミアムブランドとは、こうした積み重ねの上に創り上げられてゆくものなのでしょうね。

バレンシアの日差しがQ5の美しいディテールをクッキリ浮かび上がらせている。

宿泊したホテルのアウディ専用フロント。
「アウディワールド」のイメージがよく伝わってきます。

ホテル中庭の一角のスナップ。どこに行ってもブランドイメージ戦略に手抜きはない。
僕の直感的イメージでは「女性が似合う!」SUVであり、
ステアリングを握る女性を、
アクティブに見せながら、エレガンスをも感じさせる……
そんな印象を受けます。
かといって、むろん、男には似合わないということではありません。
黒や、濃紺、チタンシルバー……そんなボディカラーなら、
男にも似合います。
とくに、黒や濃紺なら、ビジネスシーンにも馴染むはず、
つまり、スーツにタイという装いをも受け容れる懐の深さがあります。
ただし……アウディの常ですが、
クールに装い、クールに振る舞う、
そんな男でなければ浮いてしまいます。
アウディQ5は穏やかで控えめな装いではありながらも、
乗り手のセンスを厳しく選ぶクルマということです。
ちなみに、もっとインパクトの強いQ5が欲しい人のために、
アウディは「Sライン」を用意していますが、
これは、目に留めた人のほとんどを振り返らせるだろうほどの、
強いインパクトをもっています。
価格は100万円単位の上乗せになるだろうが、その価値はある。
バレンシアで乗ったのは、2lのTFSIと3LのTDI。
トランスミッションはともに7速Sトロニック……。
日本でもすでに街を走っているVWのDSGと同様に、
パワーフローを途切らすことなく、素早く、スムースに、
シフトアップ/ダウンをしてくれます。
MT(マニュアル・トランスミッション)よりも、
変速は速く、加速も速く、そして実用燃費もいい。
VW、アウディ、ポルシェ、BMW……
続々と装備が始まっている新世代のトランスミッションであり、
もちろん「クアトロ」システムと組みあわされます。
2l・TFSIはパワーも十分ですし、低い回転域のトルクも十分。
4気筒ゆえにノーズが軽く、軽快でスポーティな身のこなしをします。
ただし、実用域のエンジンの音質、
そして、低速域の乗り心地に少し粗さがあるのが玉にキズです。
V6の3l・TDIは強大なトルクでグイグイ引っ張ります。
しかも静かに……。
5l・クラスのV8をも凌ぐほどの力感と快適さの持ち主です。
20インチ・タイヤを履きながら、乗り心地も上々。
電子制御式ダンパーのご利益は間違いなくあります。
静かでゆったりした乗り味、余裕タップリの力感溢れる走り味は、
まさに「プレミアムな味」だと言っていいと思います。
最新のディーゼルを知らないままに、
アンチ・ディーゼル派を声高に名乗っているような人が、
いったいどんな印象を持つか……ぜひ乗せてみたいものです。

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1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。



