V8の420psエンジンを積んだ
"普通のクルマ"BMW M3 セダン
昔のM3はハードでやんちゃなクルマでした。
とくに、1985年に登場した初代M3は、
いわゆる、レースのホモロゲーションモデルであり、
ロールバーを組み込めば、
そのままサーキット走行を楽しめるようなクルマでした。

写真が初代M3です。
当初は500台の限定生産車だったのですが、世界中で人気を呼び、
結局は正式なカタログモデルになったのです。
その後、2代目、3代目と代を重ねるごとに、
M3からはやんちゃ振りが取り除かれ、
高性能化されるだけではなく、快適性をも高めていったのです。
つまり、「日々を快適に過ごせる超高性能車」へと、
その性格を変えてきたということです。
最新のM3は、BMW・M社が開発した、
4l・V8の420psエンジンを積んではいますが、
普通に走っている限りは“普通のクルマ”です。
ダーク系のボディカラーでも選べば、スーツだって馴染みます。
週末に家族を乗せてショッピングに行っても、
家族から文句が出ることはないでしょう。
もちろん、その場合は、
あくまでも「アクセル控えめ」が条件にはなりますが……。

現行のM3は、こうした普通の場所に佇んでいても馴染みます。

この小さなフレームの中から、
「M3・7速DCT」のホットでクールな雰囲気がガンガン伝わってきます。

大径のドリルド・ベンチレイテッド・ディスクを見るだけでもテンションは上がります。
「ミュンヘンのブループロペラ」よりずっと小さな「Mバッジ」ですが、
この小さなバッジの価値がとても大きいんです。

7速DCTを操るコントロールレバー。D/S、+/ー……もちろん意味はおわかりですね。

モニター上でもいろいろ設定するのですが、あれこれ設定を変えて走るのは楽しいですよ。

シフトモードはこのようにオレンジ色で示されます。速度計の330km/hの目盛りがグッときます。
で、肝心の「速さはどうなんだ?」といえば、
もちろん、答えは「速い!!」です。
それもハンパな速さではありません。
とくに、ハイウェイでの追い越しなんか、
もう、「めちゃくちゃ気持ちいい!」速さです。
今回ご紹介するM3・セダンには、
新開発された7速DCTが組み込まれていました。
VWのDSGが口火を切った、
「ダブルクラッチ式」トランスミッションです。
メカの説明は省きますが(専門誌でも読んでください)、
駆動力が途切れず路面に伝えられ、
滑らかに素早く変速操作が行われるトランスミッションです。
M3のそれは、いかにもBMWらしく、
「ドライバーの意志」で細かく設定が変えられます。
いちばん穏やかなモードでは2速発進で変速も早めで滑らかですが、
いちばんスポーツ度の高いモードに設定すると……
自動シフトアップは行われず、
8個のLEDを使ったF1のようなレブインジケーターを見ながらの、
マニュアル操作だけになります。
3速から上のギアは大丈夫でしたが、
1、2速ではエンジン回転の上昇が速すぎて、
ついていけませんでした。
馴れればついていけるようになるのでしょうが……
でも、刺激的で、楽しいですよ。
なんていったって「F1パイロット」気分になれるんですから!
この種のクルマはよく、「羊の皮を被った狼」と喩えられますが、
「M3・セダン・7DCT」は、
「スーツを着たスーパーアスリート」といったところでしょうか……。
では、また明日。

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1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。



