日本人選手が健闘した
トランスシベリア ラリー 2008
本日はラリーのお話を。
今年の8月に開催された「トランスシベリア ラリー」は、
モスクワの赤の広場から、モンゴルの首都ウランバートルまで、
約7000kmを2週間で走るタフなアドベンチャー・ラリー。

ポルシェ公式サイトのトップページを飾っている写真です。
日本から、昨年に続いて、小川義文/金子浩久組が参戦しました。
クルマはポルシェカイエンS。
ポルシェ・ジャパン・チームとしてのエントリーです。

このジャンプは「やばそう!」です。
たぶん、予期したジャンプではなく、「うっかりジャンプ」だと思います。
その昔、この種のラリーには僕も何度か出場しましたよ。
例えば、ロンドンからシドニーまで、3万キロを走るマラソンラリー。
メキシコのバハ・カリフォルニア半島の荒れ地を舞台に、
約1000マイルをノンストップで走る「バハ1000」など。
いや、「バハ1000」という競技の性格は、
ラリーというよりもオフロード“レース”といった方が正確でしょう。
「トランスシベリア」は両者の中間的な性格の競技のようですが、
いずれにしても、写真のように大変な競技です。

ポルシェ・トランスシベリア仕様カイエンS。いかにもタフそうです。

この種の渡河走行は、ドライバーにもナビゲーターにも、最高度の技術と注意深さが要求されます。

水深、川底の状態、流れの速さ……とにかく細心の注意が必要です。
昔、ランドローバーのイベントの渡河セクションで、屋根まで沈んでしまったチームがありました。
それも2月のスコットランドで、ですよ!!
何が大変かというと、
ドライバーとナビゲーターの技術にも高いものが求められますが、
同時に重要なのが、注意力を支える体力と精神力。
この種の競技は、ほんのわずかな不注意、
気のゆるみが致命的なダメージを招きます。
もちろん運もありますが、
運もまた経験や慎重さによって左右されることが少なくありません。
僕の場合、オーストラリアの砂漠で衝突したカンガルーが、
フロントウィンドウを突き破って運転席に飛び込んできたこともあります。
でも、怪我もクルマのダメージも最小限に食い止めて
走り続けることができました。
運がよかったと考えるべきでしょう。
バハでは、夜間走行中、一瞬の不注意でクルマを大きくジャンプさせてしまい、
リアサスペンションを折って、その場でリタイアを余儀なくされました。
その時は、砂漠を脱出するまでに5日半ほど掛かりました。
「トランスシベリア ラリー 2008」はこの7月に行われ、
小川義文/金子浩久組は、見事に総合トップ10入りを果たしました。
その健闘を称えて、
先日、ポルシェ・ジャパン主催のパーティが開かれ、
僕もお招きいただいたのですが、
2週間/7000kmの闘いを映像で見て後、直接お2人に話を伺って、
昔のことをあれこれ思い出し、ちょっと胸が熱くなりました。
この種の競技は、
走っている最中は「俺って、なんてバカなことやってるんだ!」、
「もう2度と出るもんか!」などと思ってしまうのですが、
競技が終わり、肉体/精神両面での疲れが癒えてゆくにつれて、
(ロンドン・シドニーのときは1年くらいかかりましたが)
性懲りもなく「またやってみようか」という気持ちが湧いてくるのです。
お2人が、来年も出場されるかどうかはわかりません。
たぶん、現在の気持ちとしては「やりたくない」のではないかと思いますが、
もう少し時間が経ったら……ムズムズしてくるかもしれません。
僕としては、お2人の気持ちがそうなってくれることを願っています。
でも、とりあえずは、今回のトップ10入りのご健闘を称えたいと思います。
おめでとうございます! お疲れさまでした!
では、また明日。

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1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。



