岡崎宏司の考察と結論
VW ゴルフ その2
VWの客層はインテリっぽい人が多いように思う。
VW車の特徴を一言で括れば「誰にでも勧められる」といった言葉が浮かんでくるが、中でもゴルフにはその感が強い。
日本でも欧州でもゴルフには多種多様な人たちが乗っているが、街で出会うゴルフと、ゴルフに乗っている人を見て、違和感を覚えた記憶はほとんどない。ゴルフは、多種多様な人たち個々の雰囲気を、装いを、ライフスタイルを、価値観を……難なく包み込み、馴染ませてしまう特技を持っているようだ。

そう、他のクルマとは絶対に見間違われることのない個性を持ちながら、多くの人たちを自然に包み込み、馴染ませる懐の深さこそゴルフの真骨頂と言っていい。
そしてそれは、デザインが、機能が、パフォーマンスが、クォリティが……時代の価値観をしっかり受け止めながら、優れて調和している証に他ならない。
しかし、そんなゴルフにもあまり馴染まない人はいる。ヤボな人……例えば、キンピカ男やジャラジャラ女には馴染まない。
とくにお洒落に気を遣ってはいなくても、まっとうな装いならゴルフは馴染むし、清潔感ある装いならさらによく馴染む。
ゴルフをコアにしたVWの客層には、インテリっぽい人が多いように思う。本音としては目立ちたい気持ちはあるにしても、それを抑えて、ちょっと控えめに振舞うことをよしとするような人が多いように思えるのだ。
そして、そんな客層が、VWブランドへの信頼感を後押しし、ゴルフの「クラスレス」イメージをも後押ししているに違いない。
こうした話をしていると、「ゴルフでは粋にお洒落には振舞えないのか?」といった疑問がわいてきてしまうかもしれないが、それはない。絶対にない。
ゴルフは多種多様な乗り手を自然に包み込みはするが、同時にクルマ自体が前面にシャシャリ出ることがないため、いい雰囲気の人が乗ればいい引き立て役にもなってくれる。
例えば、黒か白のGTIにブラッド・ピッド辺りが乗れば最高にカッコいいだろうし、俳優の佐藤浩一、歌手の桑田佳祐、サッカーの宮本恒靖といった辺りも、ゴルフGTIでカッコよく決められると思う私のイメージ上のサンプルだ。
ちなみに、GTIは、200ps/280Nmを引き出す2lのターボFSI(ガソリン直噴)エンジンを積むが、力強くてスムース、レスポンスがよくて心地よい音の持ち主であり、6速MTでも6速DSGでも、爽快に走る。日常性能にも優れ、人気のないワインディングロードでは、懐の深いフットワークで高いアベレージスピードを引き出す。
コンパクト・スポーツハッチの頂点に立つトータルパフォーマンスの持ち主である。
(『@ZINO』2007年掲載記事)

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最終報告


1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。



