メルセデスSL
in パームスプリングス
メルセデスのSLは、1960年代以降、
「ラグジュアリー・ロードスター」のトップの座に君臨し続けています。
もっと贅沢で、もっと高価なモデルもありますが、
このセグメントの王者は間違いなくメルセデスSLです。
「ガルウィング」で知られる初代SLは、
レースに勝利することを主目的に開発されましたが、
1963年に誕生した2代目SLからは、
贅沢なラグジュアリーなロードスターに変わりました。
以来、SLは世界中の裕福な人たちに支持され、
愛され続けています。(年齢、性別に関わらず)
特にアメリカでは、
女性がステアリングを握るSLをよく見かけます。
それも年配の女性が目立ちます。
まあ、年配の女性には、
お金持ちが多いということかもしれませんが、
SLの快適さと運転のしやすさ、
そして、「メルセデスに乗る安心感」が、
彼女たちを惹きつけているのでしょう。
いずれにしても、
美しく装った年配の女性と
SLの相性はとてもいいものです。
さて、ビッグマイナーチェンジされた、
新型SLの試乗会は、
パームスプリングスを中心に行われました。
(ロサンゼルスから180kmほど東に位置する砂漠の中の観光地です)

広く、高く、蒼い空……そしてパームツリー。
パームスプリングスの空はいつまで見ていても飽きません。
以前はもっと華やかで活気があったように記憶していますが、
デザートエリアならではの高く広く透明な空は気持ちのいいものですし、
とくに陽が沈む頃の空の美しさは格別です。
新しいSLでの砂漠の旅は快適でした。
22度と低めにセットしたエアコンの冷気に包まれて、
強く眩しい陽差しの中を走るのは、
本当に気持ちのいいもの。

試乗会のランチエリアに置かれていたパゴダルーフのSL。
素晴らしくエレガントです。ずっと憧れています。

同じランチエリアの300SL ロードスター。
カッコだけでいえば、僕はパゴダルーフのSLの方が好きです。
試乗会には、SL280からSL65AMGまで、
フルラインナップが揃えられていました。
朝のスタートポイントにSLが勢揃いしたところです。
新開発のV6を積んだSL350も、
ほとんどパーフェクトな仕上がりだったし、
5.5l・V8を積んだSL500は、
トータルバランス的にみて、
やはりSLの中核モデルだと思いました。
SL500はどこからみても
「大人のGT」です。

夕暮れ時のパームスプリングスを走るSL。いい雰囲気ですね。
パームツリーのシルエットもきれいです。
しかし、6.3lのNAエンジンを積んだ「SL63AMG」は
かなりやんちゃです。
525ps/630Nmによって引き出される走りも刺激的ですが、
ちょっと引っ張ると、ほとんどレーシングエンジン並みに吠える、
サウンドチューニングがまた、やんちゃ度を一段と高めています。
AMGが開発した、「スピードシフトMCT7」と呼ばれる、
新型トランスミッションの変速の速さ巧みさも見事なもの。
アクセルを戻すと、バッバッバラッバッといった、
レーシングエンジンのアフターファイアのような音がしますが、
これも「ワザと」チューニングで創り上げたものだそうです。
「恋を囁く場」としては相応しくないかもしれませんが、
僕は、このAMGサウンドにかなり痺れさせられました。
もちろん、SL63AMGの速さはハンパではありません。
ボディ剛性が高いので不快感はありませんが少々乗り心地は硬め。
といったことで、
1人で乗る時はSL63AMGに……
特別な囁きが必要な時はCLに……
オトコたるもの、できればそのくらいの力がほしいものですね。
では、また来週。

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1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。



