岡崎宏司の考察と結論
トヨタ ランドクルーザー その1
ランドクルーザーは、
世界でもっとも広範に足跡を印した日本車
私が初めて海外に出たのは、まだプロペラ機が残っていた時代だった。以来、数百回という単位で海外に出ているが、ずいぶんいろいろなところを走ったものである。

アドベンチャー的ドライブも好きだったので、辺境の地に踏み入ることも多かったし、「ロンドン・シドニー3万kmラリー」や、メキシコのバハ・カリフォルニア半島をほとんどノールールでひたすら速く走り抜ける、といったオフロードレースにも出た。
なぜか、あのキャノンボールレースから招待状が送られてきたこともある。
つまり、世界を走り、世界を体験してきたわけだが、そんな中で、いちばん多く見かけてきた日本車はランドクルーザーだ。
ここで言う「多く」の意味は台数的なものではなく、「世界のどこででも」という意味であり、後進国から先進国まで、北の果てから南の果てまで、腰布ひとつの村からロデオドライブまでといったことである。
たぶん、「ランドクルーザー」は、世界でもっとも広範に足跡を印した日本車だろう。その理由は言うまでもなく、4WD車としての比類なきタフさにあり、信頼性にある。自衛隊の前身である警察予備隊向けの車両として生まれた履歴もそれを裏付けるものだが、以来約50年、ランドクルーザーは世界のあらゆる道を走り続けてきた。
ニュース等で流れる、戦争地域や紛争地域の映像を見ていると、必ずと言っていいほどランドクルーザーの姿が映し出されることに気付いている方も少なくないと思うが、そんな事実もまた、ランドクルーザーのタフさと信頼性を示すなによりの証だろう。
今や頂点にまで上り詰めたトヨタに対する世界の根幹的評価は、いろいろな意味での「信頼性」にあるが、その根っこの部分を、世界的スケールで築き上げてきた具体的要素のひとつがランドクルーザーなのである。
ところで、ランドクルーザーの延べ販売台数が、トヨタの車名別ランキングの5位を占めていることをご存じだろうか。そう、カローラ、ハイラックス、マークⅡ、クラウンに次ぐ5位につけているのだが、この事実を知るだけでも、世界市場でのランドクルーザーの地位は容易に想像できるだろう。
(『@ZINO』2008年掲載記事)



1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。



