2008.09.16 09:30

2台のコラボで洒落金男(リッチーノ)を演出
MINI、アウディ S8 その1

端正なボディに迫力のグリルがよく似合う

 「ひとりで2台持ち」。別に珍しいことじゃない。私も20年以上前からずっと2台持ちだが、コンビネーションを決めるのはとても楽しい。

 高価な2台をガレージに並べるのもいいが、粋でスタイリッシュなコンビネーションもいい。例えばアウディ・S8とMINI・クーパーSなど、後者のベストな一例だろう。
 S8は、大型だが、端正なボディに、縦桟を強調した迫力のシングルフレームグリルがよくなじむ。

 20インチタイヤとセラミックローターのブレーキ(136万円のOP)を見れば、只者でないこともすぐわかる。が、それでいてアウディならではのエレガンスとインテリジェンスを失っていないのが魅力だ。
 

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 アルミとカーボンを使ったインテリアは贅沢でスポーティでモダン。そして、標準装備されるB&Oのオーディオがそんな印象を決定付ける。透明でクールな音はS8にピッタリだし、スイッチを入れると、ダッシュボード上左右端に競り上がってくる「アートなツイーター」もスペシャルなイメージを加速する。

 アルミで美しく仕上げられたナビモニタ−は格納式。スルスルと姿を現し姿を消すが、上質で上品なその動作もまたスペシャルである。

 剛性が高く軽量なオールアルミボディとクアトロシステムのコンビネーションは、ドライでも、ウェットでも、積雪路でも高い安定性を保ち続ける。それでいて、身のこなしは軽快。S8は、2トンを超える重量(それでもライバル車よりずっと軽い)と大きなボディサイズをほとんど感じさせず、ドライバーの意図通りにラインをトレースしてゆく。

 450psのV10エンジンがもたらす絶対的速さより、むしろ、身のこなしの軽快さ、正確さ、安定度の高さにS8の真髄はある。

 S8は、日常的には、高いパフォーマンスを内に秘めてクールに振舞う。静かに走り、快適に走る。

 そんなS8のボディカラーにはミッドナイトブルー辺りがいちばん似合いそうだ。トリムは濃い目のグレー系でシックに決めたい。また、濃いチタン系のボディカラーに、大胆に鮮やかなワインレッド系トリムを組み合わせるのも悪くない。

 前者なら、ビジネスシーンも問題なくこなせるし、ウェアとのコーディネーションも大きいが、後者だと、ビジネスシーンでは使い難いし、ウェアとのコーディネーションも限られてくる……しかしそれだけに、着こなせたら最高だ。

 S8にどんなボディカラー/トリムカラーが用意されているかは知らないが、アウディエクスクルーシブでオーダーすれば、たいていの望みは叶うはずである。

 クールなS8だが、独特の鮮やかな赤で埋め尽くされたメーター類の照明は刺激的だ。とくに夜は、なにか不思議な気持ちにさせられる。

 男性の赤いタイや女性の赤いスーツは「勝負どころ」では効果的と聞くが、S8の赤い照明にも間違いなく気分を高揚させる効果があるし、男と女の心の襞に食い入り、なにかしらの「勝負」の決着を促す媒体にもなりそうな気がする。

 「ちょっと旧いよ」と言われるかもしれないが、そんな夜に備えて、城達也の「ジェットストリーム」なんか用意しておくのもいいかもしれない。赤い照明に囲まれてB&Oで聞くオープニングテーマ曲のミスターロンリー、そして城達也のナレーションは、きっとS8のキャビンに妖しい沈黙を呼ぶと思う。そして、しばしの沈黙を挟んで、「今度、南の島にでも行こうか」と、タイミングよく声をかける……そう、軽〜く、冗談っぽく、がいい。

 S8にはむろんダークスーツがもっとも似合うが、オフタイムには美しい色合いのニットなんかもいい。ダークスーツとモダンなアレンジのM65辺りもいい組み合わせだ。 ただし、運転するときは後席に放り込んでおくこと。S8から降りたときM65を着けるのはカッコいいが、運転しているときはエレガンスを欠くように見えるからだ。

 もうひとつ……もし、アタッシェをもつなら、A3サイズの書類が入るくらいの黒のゼロ・ハリバートン辺りがピタリだろう。

 

(『zino』2007年5月号掲載記事)