岡崎宏司の考察と結論
カイエン GTS その1
ポルシェ・ブランドは今や絶対的
ポルシェのラインナップ展開は見事だ。
基本モデルは911、ボクスター、カイエン、ケイマンの4種にすぎないが、バリエーション展開は多岐に亘る。それも無意味なモデルなど決して作らない。ポルシェのラインナップ展開は常に理に叶ったものである。

高出力モデルの追加、ラグジュアリー度の高いモデルの追加、さらにはスポーツ度に磨きを掛けたモデルの追加……展開のパターンはだいたい決まっており、メーカー側からも適度に情報がリークされるので、ユーザーは確度の高い先読みができ、自分のほしいモデルを確実に手に入れることができる。
これはユーザーに信頼感を与え、ラインナップの新鮮度を保つ役割をも果たす。モデルチェンジサイクルが長く、その間常に確実な進化が積み重ねられる点もまたしかりだ。
ポルシェ・ブランドは、リセールバリューの高さでも他ブランドを圧倒するが、これも上記のような緻密な戦略とリンクした結果であることはいうまでもない。
さて、カイエンGTSに話を移そう。
知っての通り最近のポルシェの業績は上昇の一途。「向かうところ敵なし!」の状況だが、その大きな理由のひとつがカイエンの成功にある。「今日のポルシェの発展はカイエンあってのこと。ポルシェに大きな利益をもたらす最高のモデル!」とは本社役員の言葉だが、アメリカはもちろん、中国、中東、ロシア……新興の大金持ちが続々と誕生している国々でのカイエン人気の高さが、ポルシェに莫大な利益をもたらしている。
今やSUVなど珍しくもない。プレミアムセグメントでも同じだ。そんな中で、「カイエンばかりがなぜモテル?」ということになるのだが、モテル理由はハッキリしている。
第一の理由は「ポルシェであること」。
ポルシェ・ブランドは成熟した市場でも強いが、発展途上の市場ではさらに強い。
ブランド・バリュー、つまり他ブランドとの差別化という点において、ポルシェ・ブランドは今や絶対的な力を持っている。
(『@ZINO』2008年掲載記事)

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岡崎宏司の考察と結論
カイエン GTS その2


1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。



