岡崎宏司の考察と結論
メルセデス・ベンツ Gクラス その2
孤高の個性とカリスマ性を持つ佇まいに、
凶暴なほどの性能……
ボディカラーは黒が多い。つまり黒ピカということだが、孤高のカリスマ性と黒ピカの相性は抜群だ。また、黒ピカが多いということは、クールに見せたい、振る舞いたいといった人たちが多いと解釈していいと思うのだが、実際、Gクラスのステアリングを握っている人たちの装いはモノトーン系が目立つ。

ロデオドライブならではのこととも言えそうだが、女性がステアリングを握っているのも珍しくない。由緒あるアンティークアクセサリーを楽しむような感覚で乗っているのかもしれないし、安全性のイメージに引き寄せられているのかもしれない。
もちろん、Gクラスをアンティークと決めつける気などさらさらない。とはいえ、30年前と同じ姿佇まいを前にし、かつてローマ法王の公用車だった防弾ガラス製特殊ボディを架装したGクラスの姿を思い浮かべたりしていると、由緒あるアンティークを眺めているときのような、なにか謎めいた気分にさせられるのも確かだ。
ところで、今回試乗したのは、Gクラス最強の「G55・AMG」で、スーパーチャージャーを組み込んだ5.4l・V8は500ps/71.4kgmを発生。5速ATと組み合わされて、2m近い全高と2.4トンを超える真四角なボディを、0から100km/hまで「5.5秒!!」で走らせる。
アクセルを深く踏み込むと「グォーン」といった豪快な音と共に「突進」は始まるが、その瞬発力には凶暴さすら感じさせられる。 遮音にはあまり熱心に取り組んでおらず、とくに高回転域では、吸気音、排気音、メカニカルノイズ等々が、決壊した堤防からなだれ込んでくる濁流のごとくキャビンに押し寄せる。日常領域でも、煩くはないが豪快な唸りは続く。しかし、速度のコントロールはしやすく、例えば30km/hでも、40km/hでも、ストレスなく走り続けられる。
孤高の個性とカリスマ性を持つ佇まいに、凶暴なほどの性能……クールに乗ったら、こいつは文句なくカッコいい。が、このクルマ、男にしても女にしても一人で乗るのがお勧めだ。二人で乗ると、孤高な雰囲気が削がれ、クールさが削がれるからである。
ただし、フォーマルな装いでパーティに乗り付ける、といったシチュエーションでは、女性との二人乗りが決まりそうだ。
そんなことで、クールなファッションアイテムとしてGクラスを捉えるならば、サードカーか、せいぜいセカンドカーといった位置づけになる。例えば、ファーストカーのSクラス、セカンドカーのSLクラスにプラスする1台といったことである。
(『@ZINO』2008年掲載記事)

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岡崎宏司の考察と結論
メルセデス・ベンツ Gクラス その1


1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。



