ビッグメルセデスの洒落金男的こなし方
CLクラス、Sクラス その2
女性が運転してもサマになる点がSにない特徴
CLクラスは最近フルモデルチェンジしたのだが、まず惹かれるのはルックス。メルセデスのフラッグシップにふさわしい風格を漂わせながら、今の時代がラグジュアリーカーに求める、エレガンスやセクシーさをも豊かに湛えている。
CLクラスは女性にも似合う。
ここが、Sクラスとの2台持ちの相手に選んだ大きな理由でもある。
女性が運転するSクラスの助手席に男が乗るのは違和感があるが、CLクラスだとそれもない。
ただし、高級車は乗り手の素性を暴き出すという厄介な側面を持っていることは認識しておきたい。いくら高価な装いに身を包んでも、中身が伴わなければ高級車は似合わない。SクラスやCLクラスはまさにそんなクルマであり、周囲から憧れの視線が向けられるのか、眉をひそめられるのかは、乗る人の品格次第ということである。
CLクラスは高さ以外のサイズはSクラスと同等で、さらにドアの大きな2ドアだから狭い場所での乗り降りは少々大変だ。しかし、乗降時にシートを最後端にスライドさせれば、大きなドアによるハンディはある程度カバーできる。3つあるシートメモリのひとつを最後端にセットしておくのも、乗り降りを楽にする有効な方法だ。
とはいえ、絶対的サイズの大きさは否定できないので、普段使いの足としてはやはり使いにくい。
普段着で気楽に、といった気にもなれない。CLクラスにはそんな振る舞いを、当然のことのように拒絶する雰囲気がある。
だから、SクラスとCLクラスを持つなら、もう1台、日常の雑事を気軽にこなせるクルマがほしい。
となれば、SLK辺りが取り合わせの相性はいちばんよさそうだ。
SクラスとCLクラスの2台持ちは「気分的に重い」というなら、SクラスとSLKに変えてもいい。
AやBクラスの日常性は高いが、SクラスやCLクラスと並べるのは雰囲気的に相容れないものがある。
CLクラスのボディカラーは白、内装は「コニャック」と呼ばれるブラウンの組み合わせがいいと思う。
シルバーと黒のSクラス、白とブラウンのCLクラス……仕事用と遊び用のメリハリもつくし、乗り換えれば気分も大きく変る。
日本市場向けのCLクラスには、現在550、600、63AMGの3モデルがあるが、私ならSクラスの場合と同じく、過剰さがなくハイバランスな550を選ぶ。
でも、2台とも同じエンジンではつまらないと思うなら、517ps/84.6kgmのツインターボ・V12……つまり、CL600を選ぶのもいい。
アクセルを深く踏み込んだ時の加速は凄まじいが、その一方で40km/hで保って、なんのストレスもなく走れるという技も持っている。メルセデスの伝統である高度な速度維持性、ドライバーの意思をクルマが忠実にトレースするという特性は、CL600にも受け継がれているから、運転はとても快適だ。
ガレージにSクラスとCLクラスが並ぶのは凄みがあるが、センスよく乗りこなせば、凄みも嫌味にはならない。特に、Sクラスをスタイリッシュに乗りこなそうというのは、男にとってとてもチャレンジしがいのあるテーマだと思う。
(『zino』2007年6月号掲載記事)

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1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。



