岡崎宏司の考察と結論
トヨタ ランドクルーザー その2
ランドクルーザー・ブランドの深い輝きが、
ロデオドライブでも際立つ
昨年秋、ほぼ10年ぶりにモデルチェンジしたランドクルーザーだが、サイズアップされ、細部は磨き込まれ、モダン化されているが、オーソドックスかつ威風堂々たる姿は基本的に変わっていない。

「進化はしても変化はしない」といった類のモデルチェンジは、地の果てまで広く深く浸透しているランドクルーザーに相応しい。誰が見ても「ランドクルーザー」とひと目でわかる姿は、長い時間をかけて築き上げてきた信頼感と安心感を形成する重要な要素だからだ。新参の都市型SUVとは基本的に求められるものが違うということである。それでいながら、ロデオドライブのような、最新のトレンドが闊歩する街の常連でもあり続け、強い存在感とオーラを発散し続けているのだからすごい。
ランドクルーザーは、日本の自動車産業が生んだ最強のブランドだと私は思っている。4.7l・V8は5速ATと組み合わされるが、2.5トンの巨体を軽々と走らせる。静粛性にも優れているが、とくにロードノイズの低さはラダーフレーム式ボディの優位さがハッキリ出ている点だ。
乗り心地は、乗用車用プラットフォームを使う今時のSUVほど洗練されてはいないものの、その重厚な乗り心地に身を委ねていると、「路地裏から地の果てまで快適に……」といったコピーが浮かんでくる。
一新された頑健なラダーフレーム、タップリした物理量をもつ強固で柔軟なサスペンション、そして最新の電子制御技術を駆使したドライビング・サポートシステムのコンビネーションは、新型ランドクルーザーに「凄みを感じさせるほど!」のオフロード性能をもたらしている。
最新の電子制御技術を組み込んだ4WDシステムをもってすれば、ちょっとした悪路など素人でも難なく走破できてしまうし、実際そうした類のSUVが多くを占める。が、ランドクルーザーは違う。あくまでも「まずは基本性能ありき」という点に拘っている。
ロデオドライブを流す人にはまったく無意味ではあっても、地の果てで命を賭し、危険に身をさらして走っている人たちの信頼を裏切らないランドクルーザーであることに強く拘り続けているということだ。そして、そんな拘りと長い時間に磨き上げられてきた「ランドクルーザー・ブランド」の深い輝きが、ロデオドライブでも際立つほどの存在感とオーラを発散させている理由だと思う。
ランドクルーザーに乗っていると、並外れた安心感に包まれる。それは、強者に身を委ねているがゆえの安心感であり、強者に身を包まれているがゆえの安心感なのだろう。
(『@ZINO』2008年掲載記事)



1940年東京生まれ。日本大学芸術学部放送学科卒業。文化的側面からクルマを斬る自動車評論家。輸入車がレアだった45年以上前に、「旅行に行くから」と言って借りた、父のノーマルのベンツでラリーに出場し、優勝したという、やんちゃな過去も。



