2008.09.16 09:30

成熟した社会に認められた
アウディという個性 その2

深紅の証明とB&0の音がドラマを生み出す。

 いまやアウディは、ミラノの洒落者たちの一番人気と言われるまでのブランドになっている。が、思い起こせば、15年ほど前、すでにその予兆はあったということだ。
 ちなみに、200クアトロとは、当時の100をベースに高性能/高級化したモデルであり、当時のアウディのフラッグシップだった。

 

200711_a8_b.jpg


 そして、現在のフラッグシップであるA8だが、その存在が、もっともクールに、スタイリッシュに目立っているのも、やはりミラノだ。

 ミラノを走るA8のボディカラーは、チタングレイからブラックまでの無彩色系、そして濃紺といったところでほとんどが占められる。

 また、内装もグレイ/ブラック系でシックにまとめられているA8が多い。加えて、乗り手の装いもまたシックであり控えめだが、決してトレンドを外していないのも、A8に乗るミラノのVIPたちの共通項だ。

 ファッション界には「ユーティリティシック」という表現があるようだが、「贅沢な素材を用い、手間をかけて作りながらも、シンプルなデザインスタイルをもつもの」をそう呼ぶらしい。この表現をクルマに当てはめると、アウディA8がまさにピッタリ当てはまる。

 すでに触れたように、ミラノの街で出会うA8は黒とか濃紺が多い。 そして、内装もまた黒やグレイが多い。基本的にはVIPが乗っているということなのだろうが、ダーク系の内外装の組み合わせでも、A8は決して地味にはならない。

 美しく磨き上げられたアルミ材の多用と、「情熱的な」といった表現がもっとも相応しい真紅の照明の多用が、ダーク系内外装とのコントラストを際立たせ、かえって華やかさを浮かび上がらせるからだ。

 A8に乗るお洒落なミラノのVIPたちは、そんな効果を計算した上でダーク系の内外装を選んでいるのだろうか。いや、きっとそうだ。

 ダーク系の装いと凝った照明は、ナイトライフを刺激的に演出する効果にも絶大なものをもっている。

 メーターの真紅の照明だけではなく、A8のあらゆる照明は、まるで優れた舞台照明のように心を揺り動かす。夜という舞台と、A8のドラマチックで多様な照明を主役にすれば、刺激的でロマンティックな短編映画など簡単にできそうだ。

 そんなキャビンがバング&オルフセンの艶やかな音に包まれる……男と女の想いを日常から隔離された世界へ連れ出すのに、これほど効果的な空間もめったにはない。
 

 

(『zino』2007年11月号掲載記事)